3.11
3.11
この重みを僕はまだ理解できていない。
多分この先も、それは到底理解しようのない計り知れないものだと思う。
3月11日、その日僕は地元香川県で中学の卒業式だった。3年間の思い出と、新しい3年間への期待に胸踊らせながら帰宅した家のテレビに映っているのは、真っ黒い荒波と、燃え盛る炎が街を飲み込む光景。
母さんが言った
「地獄」
僕は1995年4月に香川で生まれた。
1月、阪神淡路大震災の時、母さんはお腹を抱えて机の下に潜ったという。
僕は経験していない。
2014年、静岡の大学に進学した。海の近くの町。静岡は南海トラフ大地震の際、甚大な被害が出ると言われている。
じいちゃんは静岡に進学することを心配していた。結局4年間の間に地震は来なかった。
僕は経験していない。
2018年6月、大阪北部地震が起きた。
電車はストップ、もちろん会社も臨時休業。
家の本棚がベッドに倒れてきたと上司が言う。
大阪配属になったのは8月。
僕は経験していない。
熊本、北海道でも大地震が起こっている中、これまで一度も大地震を経験したことのない僕は恵まれていて、感謝しなくてはならない。
栃木に住んでいたおじさんは3.11を機に香川に帰ってきた。天災は人の人生を根こそぎひっくり返してしまう。きっとおじさんにとって今日は特別な日だろう。
いつ、どこで地震が起こるかわからない。
書いている今、起こってもおかしくない。
実際、みんないつも通り生活してたんだから。
だから、ちゃんと生きなきゃ。
ただその日を消化していく日々を、亡くなった人たちに胸張って
「生きてる」って言えるのか。
お金じゃないし、地位じゃない。
大それたことなんてしなくていい。
ただ、せめて背筋伸ばして自分がしていることを誇れる人間でありたい。
だから、自分に嘘ついて周りの目とか世間体ばっか気にして消化するのはやめよう。
いつその日が来てもいいように。
ちゃんと生きよう。